2011年12月22日木曜日

あてはめて考える、ということ


「うちの業界では無理」「うちの上司は頭が固いから」「前例がない」「この業界ならではだよね」
なんとなく、聞くフレーズではないでしょうか。
セミナーやワークショップなどで何かを学んでも、それを実際に実行する人って実は少ない、と感じています。その時に聞こえてきそうなフレーズを集めてみました。

実は、池山が受講しているワークショップデザイナー育成プログラムは大阪大学と、青山学院大学で開かれていて、大阪大学では平田オリザさんがメインの先生になっていることでもわかるように、「演劇」によった内容になっています。実は池山、演劇なんて「え」の字も知らない素人(笑)。最初は、何のこっちゃ、と思っていました。

平田さんは劇作家のことを「話し言葉のプロ」という風に表現されていましたが、確かに小説家、作家は書き言葉のプロで、劇作家は話し言葉のプロ、と言えるでしょう。

育成プログラムの内容の詳細はここでは省きますが、育成プログラムでは最初に「不親切さと学びは比例する」という話があります。つまりは、親切にすればするほど、主体的な学びが減って行き、反対に不親切に教えれば主体的に学ぶ必要があり、学びの効果が上がる、というような、やや教師よりの視点です(笑)

劇作家である平田さんは、演劇を通じて、日本語という言語、人と人とのコミュニケーション、そしてさらには人間、というものを教えてくださいました。おそらくは、受け手によって学んだ内容は違うのだと思いますが、池山はそのように感じました。

表面的には演劇でしたが、そこに自分の持っている課題を当てはめて考えるということ。「not for me」とすぐに考えてしまうのではなく、どこに自分の糧になる学びがあるのか、と考えること、そこが大切であると感じています。

当てはめて考える、というのは「抽象化」といいえるかもしれません。抽象化は言語の根本だと思っています。虎は「牙のある黄色と黒の恐ろしい動物」を一語で抽象化したものです。「虎」という言葉から、かわいい生まれたての赤ちゃん虎をイメージする人、それからもちろん恐ろしいシベリアトラをイメージする人、さまざまです。それが抽象化の結果ですね。


抽象化したものに、抽象化した人が込めた意味。実はそれが微妙に違っている。これも言語の持つ面白いところです。その各自が抽象化したものの行間につめた「コンテクスト」をすりあわせて、お互いの意味しているところを通じ合わせること、それが「他者理解」ではないか、と思っています。



あるゲームをして、「おおきい」ものをみんながイメージするとします。実はその大きいものは、自動車から空母、ビル、エベレストまで様々です。その部分を無視して「ほら、大きいやつさ」という言葉ではいつまでも相互に理解し合うことができません。


先日行政書士の業務で、ある役所の窓口の方と話しましたが、話がさっぱり通じませんでした。それはある言葉に対する理解がお互いで違っていたことが原因でしたが、共通の言語で話す、ということは大切だな、と感じさせられる出来事でした。これも彼女と池山のコンテクストが違っていた、という最たる例です。

なんだか、まとまりのない文章になりましたが、アイディアラボ〔β〕では今後もワークショップを通じて、学びの場と同時に、コミュニケーションを作る場、そして新しく何かを生み出す場を提供していきたいと考えています。
今後ともアイディアラボ〔β〕をよろしくお願いいたします。

2011年12月19日月曜日

ゲーム試案:分平方ゲーム

さあ、みなさん年の瀬も押し迫ってきましたね。まじめにお仕事してますか。池山は本業と、ワークショップデザイナーと、アイディア関係の思索で脳みそがパンパンの毎日を楽しく送っております(笑)

今回は、こないだふっと思いついた、ゲームのアイディアをご紹介したいと思います。
名付けて「分平方ゲーム」。
一見なにか、「数学に関するゲームか」と思うようなタイトルですが、実は「ふーん、へー、ほー」っていうことで(笑)

カードはそうですね30枚くらいでしょうか(テキトーですいません(笑))、その全ては裏はトランプのようになっていて、表には、等分して「ホー」「ヘー」「フーン」と書いてあります。
そうですね、プレイは4人くらいでしましょうか。
まずはよくシャッフルして、5枚ずつくらいカードを配ります。もちろん、他人には見せずに。番をじゃんけんででも、決めたら、一番の人は一枚のカードを選んでテーブルに伏せて出します。で、その人が30秒くらいで「これ知ってる?」みたいな話をします。

その時に、メンバーの顔色を見ながら、属性を考えながら、話します。
「この人はこれ知らないだろう」
「これは知ってるかもしれないな」

で、その話を聞き終わった他のメンバーは今の話の感想を、「ふーん」「へー」「ほー」の中から選んで、テーブルに伏せて出します。「ほー」が一番驚いて感心した、「へー」が次、「ふーん」はそこそこの話、ってことです。

で、全員がテーブルにカードを出したら、「せーの」で裏返します。
で、話をした人のカードが「へー」だとすると、誰も「へー」を出してなかったら、その人は山から一枚引きます。
一人「へー」がいたら、引かなくてオッケー、二人「ヘー」がいたら手札を一枚捨ててよし、全員が「へー」だったら、もう上がり!

っていうゲームを考えたんですが、どうでしょうか(笑)
ご意見いただけるとうれしいです(笑)
ルールをもう少し洗練したいので、だれか、試作して一緒にプレイしませんか?(笑)
コメントお待ちしています(^^)

2011年12月13日火曜日

β003でいただいたご感想をアップしました。

少し風邪をひいてしまい、何かと仕事が遅滞しておりました。
最近WSD(ワークショップデザイナー育成プログラム)の実習も立て込んでおり、なにかとばたばたしておる上に、本業の行政書士のご依頼の締め切りが重なり、一日のほとんどの時間を仕事していたところ、案の定風邪をひきました。例年とくに風邪はひかないんですが、やはりもう若くないですね。

さて、今日はβ003でいただいた恒例のポストイットアンケートのスキャンを終了しました。拝見していますと、本当にうれしいお言葉がたくさんで、少しお礼かたがた、お答えするような記事にしてみたいと思います。

ありがとうございます。僕のデザインするアイディアラボでは、ワークの内容と会場のセッティング、音、照明など全体を含めて「闊達なコミュニケーションをデザインする」ことを目標としています。そう言っていただけるとうれしいです。


これについても本当にうれしいです。初対面の人でも、打ち解けて、そしてアイディアが出やすい空間をデザインすることが目標なので、本当に光栄なコメントです。ありがとうございます。


今回の小道具として、KAWAIさんの出している「メロディベル」を各テーブルに配布しました。これは、ワークショップでは「ひらめきの鐘」と名付け、誰かのアイディアに対し、「それ、いいいじゃん!」って思った時に誰彼かまわず鳴らす、というルールにしました。隣のテーブルから鐘の音が聞こえてくると、気になるし、でも負けてられないし、でなんとなくそわそわする(笑)。自分のアイディアに誰かが鐘を鳴らしてくれると、これはもう最高です。今後も使っていきたいアイテムです。






この二つのコメントは、おそらく今回取り上げたブレインストーミングのルールについてだと思います。最初の方は、いつもなら言わないようなことを言ってみたら、なにか面白い反応が他の人から起こったのでしょうか。これはとても大切なコンセプトです。いつもなら言わないようなことを言える場、こそが良好なコミュニケーション環境です。それを受け止める空気を作ることが会議では肝要だと考えています。同様に次の方も、判断を遅延することで意見が多く出た、ということを言っておられるのだと推察しますが、これを徹底して実施するだけでも会議の前半はよくなると思います。ありがとうございます。


ありがとうございます。今回使っているのはKeynoteです。プロジェクタで投影することが主目的の場合にはKeynoteを使うことが多いです。もちろんパワーポイントも使いますが、こちらは堅い場とか、配布資料に重きを置くときに使っています。



この二つのご意見は重く受け止めています。今回は最後のプレゼンテーションを2分とし、そのうちの1分を「シチュエーションのスキット(寸劇)」と指定しました。スキットは今までのアイディアラボや、他のセミナー、ワークショップでもなかなか取り入れられなかったものです。もちろん盛り上がりますし、スキットを作ってみることによって、意外にも当事者の気持ちがわかるものです。今回はみなさんのコミュニケーション能力も高く、おおむね好意的に受け入れていただきましたが、これは能力の高低ではなく、個性の問題で、やはりそういうものに拒否感を感じられる方もいたようです。申し訳なかったと思います。何かこれについては、今後は工夫をいたします。ご意見ありがとうございました。


これが一番ウケました。その後固形に戻られたかが心配です(笑)。アイディアラボで脳を柔らかく使っていただけたのは、本当に光栄です。ありがとうございました。

さあ、年が明けて2月10日がアイディアラボ〔β004〕です。
いつもの通り、直前まで何も公表されませんが(笑)
みなさん、予定の確保をお願いします!

2011年12月6日火曜日

アイディアラボ〔β〕第3回ワークショップを開催しました


今日は珍しく電車移動なんで、津駅に向かうJR参宮線の各駅の中でこの記事を書いています。電車移動はいいですね。まあ、満員電車じゃあ、こんな訳には行かないでしょうが(笑)

さて、遅くなりましたが、去る12月2日の金曜日にいつもの松阪市日野町「ぴのまち」カフェにてアイディアラボ〔β〕の第3回β003を行いました。ご参加いただきました皆さん、本当にありがとうございました。楽しんでいただけましたでしょうか。


今回のβ003では、以前から申し上げましたように、3つの要素をねらいとしてあげていました。それは、Creation、Innovation、Comunicationの3つです。そして、その3つの要素を結びつけるテーマは「ブレインストーミング」です。

会場では、ご参加の皆さんにはおりにつけ、プログラムのないようについてご説明させてもらいました。こういう手法を「メタワークショップ」といいます。

今回のワークショップデザインの特色としては、アイスブレイクにとても時間をかけた、という点だと思います。言い換えれば、アイスブレイクと本体のワークの間の境界線が曖昧、とも言えるかもしれません。


前述の通り、今回のワークショップのテーマはブレインストーミングでした。ブレインストーミングは皆さんご存知の通り、アレックス・オズボーンの提唱した会議方法で頭の中に嵐が起こるように、どんどんと意見を出し合う、というものです。しかし、ブレストといわれ馴染まれている言葉のわりには、いまいち上手に運用されている状態を見かけませんので、少し皆様の参考になればと思い、ワークのテーマとして取り上げました。

もう一つ、今回の特色はスタート前に設定した「学びのロケットブースタータイム」です。これでは、過去のイノベーション事例をを3つの角度から見たものを講義スタイルでお届けしました。


「ロケットブースター」をやろうと思ったの理由は一つで、実はアイディアラボは金曜日の夜(これは、僕の都合に合わせてもらってます(笑))の開催ということで、時間的な制約があります。実はワークショップはしっかりと、そしてゆったりと設計しだすと、2時間ではあまりいろんなことができません。さらに、座学の時間もとりますと、ワークにさける時間はどんどんみじかくなります。ですから、ワークの時間をめいっぱいとるために、座学の時間をできるだけコンパクトにしたい、と思ったのが理由です。イノベーションについての座学を事前にとることにより、本編での学びの効果を加速させるのが狙いでした。いかがでしたでしょうか。


それから、すいません事前課題についての意味を説明するのを忘れてしまいましたので、ここで補足させてもらいます。事前課題はテーマに沿った写真を携帯電話で採って、スライドショーができるサイトのアドレスへ送ってもらう、というものでした。ここで何を意図したのか、といいますと、実は写真そのものには実は重きを置いておりませんでした(笑)。すいません。むしろ、写真を撮ろうとして題材を探す心の向き、といいますか、思考の偏りみたいのところが、テーマでした。カラーバス効果といいますが、クルマを買い替えると、そのクルマが目について「あれ、結構売れてるんだね」と思ったご経験がないでしょうか。人間は見るものを実は選んでいます。見るのは目の働きではなく実は脳の働きですから、脳の方で見るものを選んでいるのでしょう。そのことで、今回の事前課題を出すことで、皆さんの思考をテーマの方に向けていただきたい、といった意図がありました。お寄せいただいた写真のスライドショーはワーク中のブレストの間にバックグラウンドでながしました。


それから、もう一つ、今回最後まで悩んだんですが、最後のプレゼンについて2分間のプレゼンのうち、1分間をシチュエーション・スキット(寸劇)にしてください、というチャレンジをしました。これは、個人的に前からやりたいと思っていたのですが、場が暖まっていないと、参加の皆さんのご負担になると思い、控えておりました。この夜は非常に盛り上がっていたので、「よし!」と思いやってみました。非常に楽しく、みんなで、げらげら笑いながら拝見でき、胸を撫で下ろしました。しかし、アンケートの中には「寸劇がちょっときつかった」というご意見もいただいたことを申し添えます。ご負担に感じられた参加者の方には申し訳なかったです。


さて、β004は開けて2月10日(金)予定しています。次回の学びの世話人は、我らが米山哲司さんです!ぜひぜひ、万障繰り合わせていただき、ご参加くださいね!

アンケートの画像を最後に掲載しました。ご参加の皆さん、ぴのまちカフェの田中さん、ありがとうございました!